はじめに:認知症は誰にでも起こりうる問題

高齢化が進む現代社会では、認知症は誰にとっても身近な課題です。しかし、私自身のこれまでの経験では、認知症は気が付かないうちに進行していくことが多いと感じます。

仮に本人が「おかしいかな」と思っても、認知症だったらどうしようという恐怖心や、認知症からくる意欲の低下が原因で、受診に繋がらず放置されてしまうことがあります。その結果、認知症の進行が早まり、周囲が気づいた時には何も準備ができていなかった、というケースを多く目にしてきました。

また、高齢者の方とお話をすると、「子どもに迷惑をかけたくない」とよくおっしゃいます。その気持ちはとても大切ですが、本当に家族に安心してもらいたいなら、事前に準備を進めることが何よりのサポートになります。

今回は、認知症の不安を減らし、未来の安心をつくるために役立つ「認知症になる前にやるべき10のこと」をご紹介します。

1. エンディングノートを作成する

エンディングノートは、自分の価値観や希望を記録するためのツールです。財産管理、介護の希望、医療方針、葬儀の内容など、家族に伝えたいことを整理しておきましょう。

特に介護や医療に関する希望を明文化しておくことで、家族が迷うことなく対応できるようになります。認知症になる前に、こうした準備をしておくことで、家族の不安や負担を大きく減らすことができます。

2. 任意後見契約を検討する

認知症になる前に、自分の意思で信頼できる人を選び、財産管理や契約手続きなどを任せられる「任意後見契約」を準備しておきましょう。

任意後見契約は、判断能力が低下したときに発動する仕組みです。信頼できる人を後見人として選んでおくことで、自分の希望をしっかりと反映させることができます。公正証書で契約しておくことで、いざという時にスムーズにサポートを受けられるようになります。

3. 財産や契約情報を整理しておく

自分の財産や契約情報をリスト化し、信頼できる家族や専門家と共有しておきましょう。銀行口座、不動産、保険、年金、各種契約情報など、状況を明確にしておくことで、いざという時の対応がスムーズになります。

「認知症準備で家族が困らないため」に、こうした情報を事前に整理しておくことは非常に大切です。また、自分自身も安心して日々を過ごすことができるようになります。

4. 医療・介護に関する希望を文書化する

認知症が進行しても、医療や介護に関する希望が反映されるように、事前指示書(リビングウィル)を作成することが重要です。

介護現場で働いているとよく感じるのは、親に施設に入ってもらいたいと子どもが思うタイミングです。その多くは、介護の負担が大きくなったり、認知症の進行が進んでからです。しかし、そうなる頃には本人の判断能力が低下していることがほとんどです。その結果、施設を決めるのは子どもやケアマネジャーというケースが一般的です。

そのような時に、自分自身がどのような医療や介護を希望するのかが明確に伝わっていると、子どもも親も納得した形で施設を選ぶことができます。希望を文書化しておくことで、家族にとって大きな指針となり、スムーズな意思決定が可能になります。

5. 健康管理と認知症予防に取り組む

認知症予防は、日々の生活の中で実践できます。適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、そしてストレス管理を意識しましょう。また、趣味や新しい学びを通じて脳を活性化させることも大切です。

「認知症にならないためにできること」を取り入れた生活を送ることで、心身の健康だけでなく、生活全体の質が向上します。

6. 趣味や社会的つながりを維持する

孤立は認知症の進行を早めるリスクがあります。趣味や地域活動を通じて社会とのつながりを保ちましょう。定期的に人と交流することで、心の健康も保ちやすくなります。

また、趣味を持つことで、日常に楽しみが生まれ、生活にメリハリがつきます。「認知症予防に役立つ方法」としてもおすすめです。

7. 信頼できる専門家との連携を作る

行政書士、社会福祉士、地域包括支援センターなど、信頼できる専門職と早めに連携を取っておきましょう。

専門家は、法律や福祉サービスに関するアドバイスを提供してくれるため、将来的な不安を軽減できます。信頼関係を築いておくことで、必要なときに迅速な対応が可能になります。「認知症準備で家族が困らないため」に、こうしたつながりを早めに作っておくことが安心につながります。

8. 子どもや家族と話し合う

家族と事前に話し合い、自分の希望を共有することで、全員が同じ方向を向くことができます。しかし、家族間で話し合うだけでは意見が対立したり、不安が解消しきれない場合もあります。

上松行政書士事務所では、こうした家族の話し合いをサポートするサービスを提供しています。

進行役としてのサポート:第三者の立場から意見を整理し、合意形成をお手伝いします。

• 医療や介護の希望、財産管理の整理を文書化し、後のトラブルを防ぎます。

• 家族にわかりやすい形で法的な選択肢(任意後見契約など)を説明します。

さらに、初回相談は無料です。お気軽にご相談いただければ、家族が抱える不安や課題を整理し、最適な準備を進めるお手伝いをさせていただきます。

9. 思い出や記録を残す

写真や手紙、動画など、自分の思い出や感謝の気持ちを形にして残しておきましょう。これらは、あなた自身にとっても家族にとっても、心の支えになる大切なものです。

記録を残すことで、自分自身が振り返り、豊かな人生を再確認する機会にもなります。

10. やりたいことに挑戦する

「いつかやりたい」と思っていることに、今のうちに挑戦してみましょう。旅行や趣味、新しいスキルの習得など、自分の人生をより豊かにする活動を楽しんでください。

やりたいことを実現することで、日々の充実感が高まり、後悔の少ない人生を送ることができます。

まとめ:早めの準備が安心な未来を作る

認知症への備えは、決してネガティブなことではありません。むしろ、事前に準備をしておくことで、未来に向けた安心感を得ることができます。

今回ご紹介した「認知症になる前にやるべき10のこと」を実践することで、認知症の不安を減らし、自分らしい未来を守ることができます。

準備は早ければ早いほど、選択肢が広がり、より自分の希望を反映した形で進めることができます。そして、それは自分だけでなく、家族の安心にもつながります。

次回の記事では、「親が認知症になる前に家族ができる準備」について詳しくお話しします。親子で一緒に未来の安心を築いていくヒントをお届けしますので、ぜひご覧ください!

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