デジタル機器やインターネット上のアカウントが私たちの日常に溶け込んでいる現代、これらの情報を正しく整理し、管理することは重要です。しかし、多くの人は「デジタル遺品」の存在やその管理方法について十分に意識していないのが現状です。本記事では、デジタル遺品について、その重要性と適切な管理方法を2部構成でお伝えします。

見えない資産「デジタル遺品」とは?その重要性を理解しよう

現代社会では、スマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタル機器を持つことが当たり前になっています。これらのデジタル機器は、日常生活に欠かせない情報を保存しているだけでなく、私たちの財産や重要な個人情報を管理するツールでもあります。しかし、その一方で、「デジタル遺品」について考える機会は少ないのが現状です。

デジタル遺品とは?

デジタル遺品とは、デジタル機器本体や、それに保存されたデータ、さらにはインターネット上で利用しているサービスやアカウントを指します。具体的には以下のようなものが含まれます。

  1. デジタル機器本体
    • スマホ、タブレット、パソコン、USBメモリ、外付けハードディスクなど。
  2. 本体に保存されたデータ
    • 写真、動画、WordやExcelファイル、メール、カレンダー、電話帳、インターネットの履歴など。
  3. インターネット上のアカウントやサービス
    • ネット銀行、ネット証券口座、暗号資産、定額課金サービス(サブスクリプション)、SNSアカウント、ブログなど。

これらのデジタル資産が適切に管理されていない場合、遺族がアクセスできなくなり、財産が失われたり、相続手続きが滞るリスクがあります。

デジタル遺品が問題となる理由

デジタル遺品は、物理的な財産とは異なり、形がなく目に見えないため、遺族がその存在に気づけないことが多々あります。また、オンラインサービスやデジタル機器は、パスワードや秘密鍵で保護されていることが多く、これらが不明な場合にはアクセスできないという問題があります。特に暗号資産などは、秘密鍵がなければ取り戻すことは不可能です。このため、デジタル終活が非常に重要となります。

デジタル終活・実践編:リストアップから始めよう

デジタル終活を始めるには、まず自分が所有しているデジタル遺品を把握し、それを「見える化」することが必要です。以下の手順でリストアップしていきましょう。

  1. デジタル機器のリストアップ
    • 自分が使っているデジタル機器本体をすべてリストに書き出します。スマホ、タブレット、パソコン、USBメモリ、外付けハードディスクなど、古い機器や過去に使っていたデバイスも含めて確認しましょう。
  2. 本体内のデータを確認
    • 次に、デバイス内に保存されているデータを確認します。これには、写真、動画、ドキュメント、メール、カレンダー、電話帳、メッセージアプリなどが含まれます。また、アプリを通じてログインしているオンラインサービスの確認も重要です。
  3. インターネット上のサービスをリストアップ
    • インターネット上で利用しているアカウントやサービスもリストに加えます。ネット銀行、証券口座、暗号資産、サブスクリプションサービス(Netflix、Amazonなど)、SNSアカウント(Facebook、X、Instagramなど)も忘れずに書き出し、パスワードや認証方法も整理しておきましょう。

デジタル終活はこれで完了?実は、ここからが重要!

デジタル資産をリストアップしたら、いよいよ次に考えるべきなのは、それらを安全かつ確実に管理するための方法です。パスワードを手書きで残しておくだけでは不十分な場合も多く、セキュリティを保ちながら、万が一の際に家族がアクセスできるような仕組みを整えることが大切です。

具体的には、パスワードマネージャーや緊急アクセス機能を持つツールの活用が有効です。例えば、1PasswordLastPassBitwardenなどのパスワードマネージャーを利用することで、すべてのアカウント情報を一元管理できます。また、これらのツールには「緊急アクセス機能」が搭載されており、信頼できる人物に必要な時にアクセス権を付与することが可能です。

次回の第2部では、これらのデジタル資産を管理するための具体的なツールや方法について詳しく解説していきます。GoogleやAppleの無料で使える便利なパスワードマネージャーから、万が一に備えた緊急アクセス機能を持つ有料サービスまで、あなたに合ったデジタル終活の方法を紹介します。次回をお楽しみに!


お役に立つ情報を日々発信しています!