デイサービスの管理者として働いていた頃、深く心に残る出会いがありました。
その経験は、今の私にとっても大切なものであり、行政書士を目指すきっかけにもなりました。
出会いの背景とその影響
私が管理者として立ち上げを任せられたデイサービスで、最初の登録者となったのが、少し気難しい女性の高齢者Aさんでした。
初めての利用者ということもあり、スタッフのサービスは過剰になりがちでしたが、Aさんは「そんなサービスはいらない」「意味のないボディタッチは不快だ」と率直に意見を言ってくれました。
Aさんは当時、未熟だった私たちに対して、高齢者にとって本当に必要なサービスは何かを考えることを教えてくれたように感じます。
そして、Aさんは亡くなった障がいのある息子さんのことを深く思っていました。「息子がこの世にいたんだという証を残したい」と、息子さんの存在を社会に残すことに強い意志を持っていました。
その時の心境と選択
ある日、私はAさんから「息子の死亡保険金で社会貢献の事業をやらないか」と提案を受けました。
当時の私は、新規開設したデイサービスの管理者としての仕事に全力を注いでいて、提案を受ける余裕がありませんでした。数年後、デイサービスの経営が安定した時に再びその話を持ちかけられましたが、ちょうど社会福祉士の資格取得のために勉強をしていた時期で、タイミングが合いませんでした。
正直に言うと、その時の私は「経営に関わること」に対して恐れを感じていました。ビビっていたのです。せっかくの機会に応じる勇気がなかった自分に、今でも少しの後悔があります。
あの時に気づけなかった大切なこと
Aさんはもうお亡くなりになっています。あの時の提案を受けていれば、どのような形で社会貢献ができたのだろうと、今でも考えることがあります。
今の私なら、障がい者福祉施設を立ち上げたい方に繋いだり、私自身が経営に参加することもできるかもしれません。
しかし、あの時は自分のことばかり考えていたと今になって思います。Aさんがどういう思いで私に声をかけ、提案してくれたのかを想像することさえしなかった自分がいました。それが今となっては、一番の後悔です。
行政書士を目指すきっかけとその理念
その経験は、もっと社会資源の事、障がい者福祉についても学びたいという思いを引き出し、社会福祉士を目指すきっかけとなりました。そして、高齢者が人生の最終段階を安心して迎えられるように、今まで築いてきた資産や思いを後世に繋ぐための支援をしたいと考え、行政書士を目指すことを決意しました。
ただの法的手続きを超えて、人々が自分の思いを形にし、安心してその人生を締めくくることができる社会の実現を目指すことが、私の理念となりました。
未来への展望…今、できること
今の私なら、あの時できなかったことにチャレンジする準備ができています。
例えば、以下のような社会貢献事業を実現できるのではないかと考えています。
• 終活サポート事業:遺言書作成や財産管理、エンディングノートの支援を通じて、高齢者が安心して人生の最後を迎えられるようサポートする。
• コミュニティサポート:地域の介護施設と連携し、独居高齢者やその家族を支援するプロジェクトを立ち上げる。
• 共生の遺贈・寄付サポート:亡くなった方の遺産や寄付を活用し、障がい者支援や福祉施設の設立に役立てる仕組み作る。
これらの活動を通じて、社会に貢献できる存在でありたいと強く感じています。
出会いと選択がもたらす未来への希望
振り返ると、あの時の選択には後悔が残っています。ただ、その経験があるからこそ、今の自分があり、これからの道を見据えて進んでいけるのだと思います。人生にはそれぞれのタイミングがあり、その時に与えられるチャンスをどう活かすかが重要だと感じています。
Aさんが私にしてくれたことは、ただのサポートだけではなく、私自身を大きく成長させてくれるものでした。 一事業所の管理者から、社会資源や障がい者福祉を学び、人々をつなげることができる社会福祉士へ、そして「高齢者が安心して人生の最終段階を迎えられる社会の実現」を目指す行政書士へと、私を成長させてくれました。Aさんから受け取ったこの経験は、今も私の原動力です。これからもその想いを胸に、多くの人々を支える存在であり続けたいと強く感じています。心から感謝しています。