はじめに

「成年後見制度って何?」と疑問を持ったことはありませんか?この制度は、判断能力が低下した方を法的に支える仕組みですが、「法定後見」と「任意後見」の違いについて知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、成年後見制度の基本と、特に法定後見が必要になる場面について具体例を交えながら解説します。

法定後見制度とは?

法定後見制度は、判断能力が低下した後に利用する仕組みで、家庭裁判所が後見人を選任します。後見人は本人に代わり、財産管理や契約手続きなどを行い、本人の生活をサポートします。

法定後見制度が必要になる場面

金融機関とのやり取りが難しい場合

例: 認知症の影響で預金の引き出しができない。

介護施設の入居契約が進まない場合

例: 本人が契約の意思を示せず、家族だけでは手続きができない。

不当な契約に巻き込まれた場合

例: 悪質商法により高額な商品を購入してしまった。

ケーススタディ: 法定後見人が契約を取り消した事例

悪質な訪問販売の被害を成年後見制度で解決

認知症を患ったおばあちゃんが、訪問販売業者に「この壺を買えば健康になりますよ!」と高額な商品を購入させられてしまいました。

すでに家庭裁判所で選任された法定後見人がついていたため、後見人が契約の状況を確認。被後見人が契約時に判断能力を欠いていたことを理由に、契約を取り消し、業者との交渉を経て商品を返品し、代金も返金されました。

→ 法定後見人には、被後見人に不利益をもたらす契約を取り消す権限があります。この権限により、本人の経済的な損失を防ぐことが可能です。

法定後見制度の注意点

1. 家庭裁判所が後見人を選任する

• 家族が後見人に選ばれる場合もありますが、専門職(弁護士、社会福祉士など)が選任されることもあります。

2. 手続きが複雑で時間がかかる

• 家庭裁判所への申し立てに多くの書類や時間が必要です。

3. 本人の希望が反映されにくい

• 判断能力が低下した後に始まるため、本人の希望や意思が十分に反映されない場合があります。

次回予告: 「任意後見制度で安心な備えを!」

法定後見制度は、判断能力が低下した後に利用する制度です。一方で、事前に準備をしておけば、もっと柔軟で安心な対応が可能な制度があるのをご存じでしょうか?

次回は、自分で信頼できる後見人を選び、安心な生活をサポートする「任意後見制度」について詳しく解説します!

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